在宅福祉サービスの体系と介護保険制度

  • 2月 24, 2021
  • 9月 13, 2021
  • 福祉
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在宅福祉サービスとは

 在宅福祉サービスとは、可能な限り高齢者や障害者が地域社会の一員として、家庭や住みなれた地域で自立した生活できるように援助することを理念としている。この理念を可能にするために、市町村が主体となって実施提供される数多くのサービスが重要となっている。

在宅福祉サービスの歴史

 在宅福祉の始まりはゴールドプランにある。1989年に発表されたゴールドプランは人口の高齢化に伴い、高齢者の医療と福祉を総合的に推進していくために、在宅福祉の推進や特別養護老人ホーム、デイサービス、ショートステイなどの整備目標、ホームヘルパーの養成人数の目標数値などが示された計画である。その後も高齢化の波は収まることはなく、1995年から新たに新ゴールドプランを計画し、さらなる在宅福祉の充実に重点を置いていた。このように高齢者が住み慣れた地域において、健康で生き生きした生活を送ることを目的とし、さまざまな施策が盛り込まれていった。このような在宅においてサービスを受けることができることを在宅サービスという。

在宅福祉サービスの種類

介護保険制度上での在宅サービスには以下のような種類がある。一例であるが、主なサービスとその内容としては以下のようなものがある。

①訪問介護(ホームヘルプサービス):介護職員が利用者の自宅を訪れて、入浴、排泄、食事の介助などの身体介護や調理、洗濯、掃除などのサービスを行う。                     ②訪問入浴介護:寝たきりなどで在宅の浴槽では入浴が難しい利用者の在宅へ、浴槽を持って訪問し、入浴の介護を行う。                                      ③訪問看護:主治医の指示の下で、比較的病状が安定している利用者の自宅を保健師や看護師が訪ねて、療養上の世話や必要な診療の補助を行う。                          ④訪問リハビリテーション:医師の医学的管理の下で、比較的病状が安定して自宅にいる利用者に対し理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪ねてリハビリテーションを行う。             ⑤通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護(ショートステイ):利用者がデイサービスセンターなどに日帰りで通い、入浴、排泄、食事などのサービスやリハビリテーションを受ける。                                       ⑥定施設入居者生活介護:サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、養護老人ホームに入居している人を対象に、生活上の相談・助言、機能訓練などを行う。                    ※(サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、養護老人ホームには原則介護サービスはない) ⑦福祉用具貸与:車椅子、特殊寝台などの貸与する。                       ⑧住宅改修:身体状況にあった住宅へリフォームを行う。 

上記のような数多くのサービスを提供するうえで重要となってくるのが介護保険制度である。

介護保険制度とは

この護保険制度は、1997年の成立以降、2年間の準備期間を経て、2000年に施行された、高齢者を社会全体で支える仕組みのことである。この介護保険制度の基本理念は「自立支援」であり、介護を要する高齢者の身の回りの世話をするということを超えて、高齢者の自立を支援することを理念としている。

介護保険制度の保険料

 利用者の選択により、多種多様な医療保険サービス、福祉サービスを総合的に受けられる「利用者本位」の制度であり、給付と負担の関係が明確な「社会保険方式」を採用している。社会保険は、一定の条件を満たせば加入しなければならない「強制加入」であるため、介護保険制度では40歳以上の人が加入し、保険料を支払っている。                               

 介護保険制度では年齢によって支払う保険料は異なっている。分類としては2種類あり、1つ目は第1号被保険者、2つ目は第2号被保険者に分けることができる。第1号被保険者は65歳以上の国民が対象で、個人の負担能力に応じて段階的に額を設定しており、徴収方法として年金から天引き又は直接納める形式をとっている。第2号被保険者は40歳以上65歳未満の国民で医療保険加入者が対象となっている。徴収方法は医療保険の一部として徴収されている。 このように、介護保険制度は家庭や住みなれた地域で自立した生活できるように援助する仕組みがなされている  

介護保険制度の利用方法

 介護保険制度の利用方法としては、保険料を支払っている国民が介護を必要としたときに、現在住んでいる各市町村に要介護・要支援認定の申請を行う。その後市町村は、申請者の身体状況などを調査・審査を行い、会議を経て要介護・要支援認定を行う。そして、要介護・要支援認定を受けた人は、サービス事業者が提供するサービスを受けることができる。

介護保険制度の課題

 多くの仕組みがなされている分課題も存在している。

 ここでは以下の3つの課題を紹介したいと思う。

問題点その1 第1号被保険者の保険料の割合が徐々に増加

現在の保険料の負担割合は、第1号被保険者が約22%で、第2号被保険者は約28%となっている。しかし2000年度では第1号被保険者の負担割合が約17%、第2被保険者は約33%であり、高齢化の進展とともに第1号被保険者の負担割合が増加している。今後、団塊の世代が75歳以上を迎える2025年にはさらに高額な保険料を支払うのではないかと考える。

問題点その2 介護保険サービスの給付費の増加

 介護保険が施行された年度の総額は約3兆円であったが、現在は約10兆円となっている。このことからも、今後の高齢化に伴い一人当たりの費用負担額が増大することが考えられる。

問題点その3 短期入所生活介護、短期入所療養介護

 本来ショートステイは普段在宅で介護を受けている人が、一時的に施設に入所・宿泊し在宅介護者の負担を軽減し、ストレスを解消することが目的となっている。ところが昨今では、ショートステイの施設数、職員ともに減少し、さらには連続で利用し、ロングステイをする人や毎月定期的に利用する人が現れ、本当に必要な人が利用できない状態にある。その他に、ショートステイの頻繁な利用により認知症が促進することも問題となっている。入所した側からすれば家族に見捨てられたと考える場合や、見知らぬ人ばかりで孤独感を感じたりする場合も考えられる。高齢者にとって、刺激の少ない場所での孤独感や喪失感は認知症の引き金になりやすいため過度な利用は高齢者にとってメリットにはならない。この問題に対応するためにもケアマネージャーなどを通じて利用者並びにその家族へショートステイを利用する意味を知ってもらうことが重要である。

課題の対応策

  このような問題を間接的に解決する方法として高齢者の健康寿命を延伸する社会を目指す考え方がある。

 具体的には、新しい基金の創設と医療・介護の連携強化、地域における効率的、かつ効果的な医療提供体制の確保、地域包括的システムの構築と費用負担の公平化などである。

 介護保険そのものが社会保障の機能である所得の再分配や税金はもとより、日本国憲法の三原則にかなっているか、見送られたままとなっている家族介護への現金給付も併せて、今後の高齢社会の方向性を考える必要がある。

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