我が国の介護保険制度及びその他の制度におけるケアマネジメントの役割と重要な視点について

  • 2月 24, 2021
  • 9月 13, 2021
  • 福祉
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そもそもケアマネジメントとは?

 ケアマネジメントは、1970年代にアメリカで病院を退院した精神障害者の在宅生活を支援する方法として開始された。わが国では1990年代に介護保険制度の構想のなかで取り入れられ、制度創設後は在宅の要介護高齢者への効果的なサービス提供の手段として活用されている。 

社会資源とは?

ケアマネジメントを行う上で社会資源は重要な役割を担っている。社会資源とは人々の生活上の課題を解決するために用いられる手段や方法にことをいう。公的な制度や介護サービスはもとより、私的な関係にあある家族や近隣、ボランティアなども含まれる。支援の対象者である利用者やその家族に、公的・私的な社会資源を結び付け、組み合わせたり調整したりしながら、在宅生活の継続を可能にし、利用者の生活の質を高める方法をケアマネジメントという。ここでいう社会資源とは、「現代社会福祉辞典」によれば、「社会生活ニーズを充足するために動員される施設・設備、資金や物資、さらに集団や個人の有する知識や技術を総称していう」と説明されている。社会資源を供給主体の視点から分類すると、家族構成、親戚、近隣、友人・同僚、ボランティア、地域の団体・組織、自助団体といったインフォーマル・セクター、法人・行政・企業といったフォーマル・セクターに分けられる。 

ケアマネジメントの展開過程とは?

一般的には以下の8つの流れを経てケアマネジメントが進められる。

1つ目はインテークである。これは、援助者が利用者と初めて出会う段階である。支援の対象となるかを見極めた上で、サービスを受けるための制度利用の申請を行う段階となる。

2つ目はアセスメントである。これは、面接などによって、対象者の心身の状況や程度、能力や意欲、置かれた環境などの把握するとともに、家族の状況や近隣、地域における専門機関のかかわりなどもあわせて包括的に情報を収集する。そして、その情報を分析し、「支援のために何を行う必要があるのか」を考え、生活上の課題を明確にする。

3つ目は目標設定とケアプランの作成である。これは、アセスメントによって明らかになったついて、目標を定め、その目標を達成するための具体的方法とサービス提供機関、日時や担当者を明記したものがケアプランである。ケアプラン作成の際は、取り組むべき課題の優先順位を決め、公的・私的な社会資源を取り入れるとともに、利用者とその家族の希望や意向が反映されるようにしなければならない。

4つ目はケアプラン実施である。これは、サービスを提供する公的な機関や、家族、近隣、ボランティアとの間で、実施方法や日時などが調整され、ケアプランの内容や目標、利用者の情報がそれぞれに共有され、周知できていることが確認されると、ケアプランの実施となる。また、実施に際しては、本人・家族への説明と同意を得ることも重要となる。

5つ目はモニタリングである。これは、ケアプランが適切に実行されているかどうか、また、利用者の心身の状況に変化が生じ、生活上に新たな課題が生じていないか、定期的に訪問したり面会したりしながら確認する。

6つ目は評価である。これは、モニタリング後、あらかじめ定められた期間内でケアプランの目標が達成されたかどうかを評価することである。目標が達成された場合は、ケアプランの継続やケアマネジメントの終結を検討する。目標が達成されていない場合、または、新たな課題が確認されたり、利用者の置かれている環境が変化した場合、ケアプランの修正・変更の必要性を判断する。

7つ目は再アセスメントである。ケアプランの変更や修正が必要であると判断された場合は、あらためて利用者・家族に訪問面接を行うとともに、関係機関からの情報提供を受ける。面接結果や得られた情報のなかから、変更や修正の根拠となる新たな生活課題を明らかにし、3つ目の「目標の設定とケアプランの作成」の段階に戻る。

8つ目は終結である。これは、利用者や家族の生活課題が解決し、支援の対象とならなくなった場合にケアマネジメントを終了することである。また、利用者の長期的な入院や遠方への引っ越し、そして死亡の場合も同様である。

 ケアマネジメントは介護保険制度や障害者総合支援法などでも用いられるが、介護保険法ではケアマネジメントのことを介護支援サービスという。さらに居宅の要介護者を対象としたものを居宅介護支援という。介護保険法第8条23項には「居宅介護支援とは居宅要介護者の依頼を受けて、その心身の状況、置かれている環境、居宅要介護者及びその家族の希望等を勘案し、利用する指定居宅サービス等の種類及び内容、これを担当する者、その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画を作成するとともに、その計画に基づく指定居宅サービス等の提供が確保されるよう、指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、その他の者との調整、その他の便宜の提供を行い、並びに地域密着型介護老人福祉施設または介護保険施設への入所を要するに当たっては、地域密着型介護老人施設または介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行う」とある。

ケアマネジメントを行う専門職とは?

上記のようなケアマネジメントそのものを行う専門職にケアマネジャーがいる。ケアマネジャーは利用者・家族からの依頼を受けて、介護サービスを提供する公的機関や、利用者と私的な関係にある人など、あらゆる社会資源を組み合わせ、支援が効果的に実施されるようにケアプランを立案する。そして、サービス担当者会議を収集し、他の機関の意見を参考にケアプランを確定させる。家族・近隣はもとより、居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者等と連絡調整を行い、計画の目標や手順も周知を図った上で、利用者本人へのサービス提供の開始につなげていくのである。 介護保険制度とは別に、障害者自立支援法では、指定相談事業者には相談支援専門員(ケアマネジメント従事者)を配置することとした。ケアマネジメントの展開過程や利用者に対する留意点等は重なる部分があるが、障害者ということで起こりえる可能性の高い人権侵害から利用者を守ることが重要となる。つまり、利用者に代わって権利やニーズを段弁し、権利の行使を真するアドボケーターとしての役割も担っている。 このようなことからケアマネジメントは利用者の生活の質(QOL)を高めることを目的とし、介護保険制度の理念である自立支援を目指すものであることがわかる。そのためにケアマネジメントの特徴である利用者本人の能力・意欲や資産、公助・互助・自助を組み合わせ、さまざまな社会資源を利用者が活用し、生活ニーズを満たすことができるように調整・管理を行うことが重要である。

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