目次
- 1 1.人の各ライフサイクルにおけてグループ
- 1.1 ■乳幼児期
- 1.2 この段階では、両親をはじめとする家族とのさまざまな相互作用を通じて「人間らしさ」への第一歩を踏み出し、人間としての基盤を形成していく。グループと形は、子どもが家族を出て、幼児の仲間グループに所属する。これは、自分の努力や能力によってグループでの地位や役割を獲得する水平的な構造である。つまり、家族グループとは違うヨコの人間関係によって結ばれるグループに所属するということである。また、自己中心性を抑制し、しだいに他人の立場を認め、仲間への協力、自立、責任などのパーソナリティの諸特性を発達させていくのもこの時期からである。
- 1.3 ■児童期
- 1.4 この段階では、学校内の教室などのグループが大きな役割を果たす。1日のうち3分の1の時間をそこで過ごすのであるから、教授学習活動を中心とした学級内での諸活動のよる影響はきわめて大きい。この時期には、他者の経験と比較することができるようになる。社会性においても自己中心性から脱却し、自分の行動基準に他者が入り込むようになる。そしてグループ独自の規範や文化をつくり、団結を強め、グループ内での自主性、積極性、個性、自立性を見につけていく。
- 1.5
- 1.6
- 1.7 ■青年期
- 1.8 この段階にある青年とは子どもでもなく、かといって大人でもない「マージナルマン」である。特徴として、帰属への強い欲求と、自我の分裂から抜け出すために、新しい自我を確立を目指す時期である。自己の安定化が図れるような、友人関係が得られる仲間グループが必要となる。特に青年期では、同じ高校などで出会う人々の多様性により、それまで知らなかった人とグループを形成し、多様な価値観に触れることになる。また、形成したグループとのコミュニケーション手段も多様化し、児童期には多く見られていたフェイス・ツー・フェイス(通常の会話)の関係から、携帯電話などによるメールの関係へとコミュニケーション手段が広がっている。この手段は気軽にグループを形成することができる一方で、匿名性や仮面性による仮想的な世界での関係を生み出している。顔を合わさないことから、別な自己を演ずることによって、グループをゲーム化することもでき、虚構な関係やいつでも断ち切れる関係を生み出す可能性もある。
- 1.9
- 1.10
- 1.11 ■成人期
- 1.12 この段階は、ライフサイクルにおける段階のなかで最も変化に富んだ時期である。就職などを機に課せられた責任や義務を果たさなければならない。そのため、グループとしては、職場グループ、家族、地域社会におけるグループに囲まれることになる。この中でも職場グループとは、成人の発達に大きな影響を及ぼす。職場グループには、人為的に組織化されたグループでと自然発生的に形成された仲間グループが存在する。
- 1.13
- 1.14
- 1.15 ■高齢期
- 2 2.グループの誕生から終結の過程
- 3 3.グループワークの展開過程
1.人の各ライフサイクルにおけてグループ
ライフサイクルを通し、人はさまざまなグループを形成し、成長をしていく。以下ではライフサイクルを5つに分けて、それぞれの段階でどのようなグループが形成されるのかを述べたいと思う。
■乳幼児期
この段階では、両親をはじめとする家族とのさまざまな相互作用を通じて「人間らしさ」への第一歩を踏み出し、人間としての基盤を形成していく。グループと形は、子どもが家族を出て、幼児の仲間グループに所属する。これは、自分の努力や能力によってグループでの地位や役割を獲得する水平的な構造である。つまり、家族グループとは違うヨコの人間関係によって結ばれるグループに所属するということである。また、自己中心性を抑制し、しだいに他人の立場を認め、仲間への協力、自立、責任などのパーソナリティの諸特性を発達させていくのもこの時期からである。
■児童期
この段階では、学校内の教室などのグループが大きな役割を果たす。1日のうち3分の1の時間をそこで過ごすのであるから、教授学習活動を中心とした学級内での諸活動のよる影響はきわめて大きい。この時期には、他者の経験と比較することができるようになる。社会性においても自己中心性から脱却し、自分の行動基準に他者が入り込むようになる。そしてグループ独自の規範や文化をつくり、団結を強め、グループ内での自主性、積極性、個性、自立性を見につけていく。
■青年期
この段階にある青年とは子どもでもなく、かといって大人でもない「マージナルマン」である。特徴として、帰属への強い欲求と、自我の分裂から抜け出すために、新しい自我を確立を目指す時期である。自己の安定化が図れるような、友人関係が得られる仲間グループが必要となる。特に青年期では、同じ高校などで出会う人々の多様性により、それまで知らなかった人とグループを形成し、多様な価値観に触れることになる。また、形成したグループとのコミュニケーション手段も多様化し、児童期には多く見られていたフェイス・ツー・フェイス(通常の会話)の関係から、携帯電話などによるメールの関係へとコミュニケーション手段が広がっている。この手段は気軽にグループを形成することができる一方で、匿名性や仮面性による仮想的な世界での関係を生み出している。顔を合わさないことから、別な自己を演ずることによって、グループをゲーム化することもでき、虚構な関係やいつでも断ち切れる関係を生み出す可能性もある。
■成人期
この段階は、ライフサイクルにおける段階のなかで最も変化に富んだ時期である。就職などを機に課せられた責任や義務を果たさなければならない。そのため、グループとしては、職場グループ、家族、地域社会におけるグループに囲まれることになる。この中でも職場グループとは、成人の発達に大きな影響を及ぼす。職場グループには、人為的に組織化されたグループでと自然発生的に形成された仲間グループが存在する。
■高齢期
この段階では、身体的にも機能の衰えがみえ始め、老化現象が起きる。グループとしては、再び地域での個人的生活が中心となる。家族グループにおいても、再び夫婦中心の生活となり、独立した子ども夫婦と協力関係となる。このようにライフサイクルを通しグループは大きく変化し、そしてグループの属する個人の役割にも変化が起きていることが分かる。
これまで述べたグループは、相互作用関係にあるメンバーという要素の集合体であるがゆえに、たえずその力動的関係は変化し続けている。したがって、グループがある特定の状態に固着することなく、たえず変化する状態にあり、その全体的な変化の結果がグループの発展もしくは衰退となって表面化する。グループにおいては、プラス方向の発展的変化ばかりでなく衰退に向かう変化もあり、それも一つの変化としてとらえなければならない。
2.グループの誕生から終結の過程
グループの誕生から終結に至るまでの一連の過程は、概ね以下の5つの段階から説明できる。
■出会いと模索
これは、グループというシステムの明確化を図り、グループの形成を始める段階である
■グループの構造化
これは、グループの基本要素である集団規範、集団決定のあり方、リーダーシップ、メンバー同氏の相互作用関係、役割分担、下位集団等の力動が表面化し、メンバー同士による交渉と仮のグループ構造が形成される段階である。
■深化と修正
これは、グループ構造も修正とメンバー間の人間関係が深まる段階である。
■自立と創造
これは、目標に向かって歩むことができるグループが完成する段階である。そのため、安定したグループ構造とグループ規範の確立がなされ、メンバー相互の尊重とリーダーシップの分かち合いが生まれる。
■終結と移行
これは完成したグループが解散と移行がなされ、新たなグループが形成される段階である。
このようにして発達過程を経てグループは形成される。
3.グループワークの展開過程
グループワークは、グループを活用してメンバー個々の人やグループ全体が直面している問題解決のために側面的支援をするソーシャルワークの方法である。
グループワークは、ワーカーの専門的なはたらきかけによって効果的に展開される。グループワークは以下の4つの過程を経て行われる。
■準備期
これは、グループでの取組みを始める前の段階である。メンバーが初めて一堂に会する前の準備、グループづくりのためにメンバーと予備的接触をするまでを指すものである。
■開始期
これは、メンバーたちが出会い、グループとして動き始めるまでを指す。
■作業期
作業期とは、メンバーが自分たちの課題に協力して取り組み、目標達成に向かって明確な成果を生み出すように進めていく段階である。グループの中で役割が明確化し、ほかのメンバーと一緒に活動することを魅力を感じるようになり、グループが次第に成長していく時である。
■終結期・移行期
これはグループ終結の作業を進め、メンバーが円滑に次の段階に移行できるように援助する段階である。この過程では、グループの経験をワーカーとメンバーが一緒に振り返り、メンバー個々の変化について評価する。