児童虐待問題や課題、その背景となった要因について

  • 2月 24, 2021
  • 9月 13, 2021
  • 福祉
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 現在のわが国では児童虐待が深刻な問題となっている。虐待が増加する中で、児童虐待の深刻化が社会問題となった背景から、2000年には「児童虐待の防止に等に関する法律」が制定された。児童虐待について、児童虐待の防止等に関する法律は、保護者によって加えられる行為を前提として、以下の4つに定義している。

児童虐待の定義とは?

1つ目は身体的虐待である。これは児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えることである。

2つ目は性的虐待である。これは児童にわいせつな行為をすること、または児童にわいせつな行為をさせることである。

3つ目はネグレクトである。これは児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置、保護者以外の同居人による保護者としての監護を怠ること。

4つ目は心理的虐待である。これは児童に対する著しい暴言または著しい拒絶的な反応、その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うことである。このような虐待に関する相談件数は平成29年度に13万3778件と過去最高となり、特に近年は身体的虐待とともに、言葉による脅しや無視、子どもの目の前での家族への暴力などといった心的虐待の占める割合が高くなってきている。 

虐待の発生要因とは?

虐待が発生する要因として、大きく3つの原因があると考えられる。

1つ目は親の要因である。これは、親自身が精神的に不安定であったり障害や疾病を抱えている、望まない妊娠、実家と関係疎遠、虐待を受け経験があったなどがあげられる。

2つ目は養育環境である。これは、親が無職であったりして経済的に不安定、地域で孤立している等ストレスの高い環境で生活していることなどがあげられる。

3つ目は子どもの要因である。これは、疾病や障害がある、双子などの多胎児であることなどがあげられる。

これらの要因がそろうと虐待が起こるというわけではなく、あくまで虐待発生のハイリスク要因であると理解する必要がある。虐待は誰にでも怒り得るものであり、さまざまなストレスや生活条件等が複数からみ合って虐待行為につながる。ハイリスク要因を理解することによって、虐待を未然に予防したり、適切な援助や支援を行ったりする際に有効なヒントを得ることができる。 

虐待を受けた子どもへの支援方法とその問題点とは?

実際に虐待を受けた子どもは、認知・発達に遅れや障害、心的外傷ストレス障がいを負ったり、愛着関係を結びにくく、人間関係が上手く結べない等の様々な、困難を抱えるリスクが高まる。そこで、早期発見、対応のための相談支援体制構築、傷ついた子どもに対する専門的なケアや支援を提供できる体制を整備する必要ある。

子ども虐待対応における援助目標は、親子分離そのものにあるのではなく、親子関係の再構築である。分離前の虐待体験やそのあとの親子分離によって傷つき、ゆがんでしまった親子関係を再構築するのは、分離後の保護者への指導や援助が必要であり重要である。しかし、児童相談所や児童福祉施設による親子分離後の保護者援助を活発に展開できていない事例は必ずしも多くない現状にある。保護者援助が有効的に展開されていない背景としには、児童相談所等が極めて多忙なため、親子分離後の親子のケアにまで手が回らない、保護者援助のための有効な援助技法が確立されていない、あるいは援助を担う職員がその援助技法を習得していない、保護者が援助や指導を受けることを強制する法的枠組みがない、などの要因が考えられる。

支援問題の打開策とは?

保護者援助に関わる制度課題の打開策の一つとして、家庭裁判所による司法関与のさらなる強化があげられる。2004年の児童福祉法改正では、家庭裁判所の承認により施設内入所措置や里親委託となったケースについては期間を2年以内とし、児童相談所の申立てにより家庭裁判所が措置の継続の適否を審査する等、司法関与の強化が図られた。さらに、2007年の児童福祉法および児童虐待防止法の改正では、都道府県から家庭裁判所に対して里親委託や施設入所措置の承認の申立てがあった場合、家庭裁判所が都道府県に対して保護者指導を勧告できることとされるとともに、都道府県は保護者指導の結果を家庭裁判所に勧告することとさた。また、親権者等の意に反する一時保護が2か月を超える場合には、家庭裁判所の承認を得なければならなくなるなど、児童虐待対応のおける司法関与の強化が進められている。また、全国児童相談所長会がおこなった報告書によると、主たる虐待者のうち「虐待を認める」者は31%で、「虐待を認めない」者は「虐待を認めない」者34%よりも若干少なくなっているものの、1966年の調査と比して、虐待を認める親が増加傾向にあることが明らかになっている。さらに、虐待の重症度と虐待の重症度と虐待の認知状況についてみると、最も重度である「生命の危機あり」のケースにおいて、「虐待を認めて援助を求めている」ケースは31%を占めており、全体構成よりも高い値となっている。 

今後求められ虐待支援とは?

今後も、援助を求める親が発するサインを見落とすことなく、必要な援助を必要なタイミングで提供できるような体制を整備することが求めらている。さらに、児童虐待の増加、児童虐待死亡事例における0歳児の占める割合や日齢0日児ケースの存在などを鑑み、妊娠期からの妊娠・出産・子育てにかかる相談援助体制の充実が急務である。妊娠期からの相だ年所体制の充実には、児童相談所など福祉機関だけでなく、産婦人科をはじめとする医療関係機関や団体、保健師等の専門職との連携も非常に重要になってくる。 これらのことから重要なことは、虐待者の意図とはかかわりなく、虐待者の行為によって子どもが有害な影響を受けたのであれば、それは虐待であるということである。子どもを虐待から守るためにも、相談窓口の周知、関係機関との効果的・効率的な役割分担・情報共有などがさらに求められる。また、親にとっても身近な子育てに関わる専門職や関係機関等が親子と連携し、子育て環境の充実を図る必要もある。さらに法制度に規定されたさまざまな施策とともに、子どもが生活する身近な地域において、多様な世代がお互いに子育てを見守り、声をかけ合う関係づくり等、虐待の発生予防と早期発見が可能な体制を整え、保護者も安心して子育てができるような関係機関と過程のネットワークの構築が課題となると考えられる。

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