犯罪者・非行者への援助活動と援助専門職およびボランティアの役割分担とその意義について

  • 2月 24, 2021
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  • 福祉
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犯罪者の社会復帰の難しさ

犯罪を防止したり、罪を犯した人をとりあつかう刑事政策は、警察や裁判所、刑務所といった機関が担い、多くの専門職が関わっている。そして罪を犯した人の更生を援助する更生保護もその一部である。罪を犯した人が刑罰を受けたのち、再犯に走ってしまわないためには、善良な市民として生活していく本人の反省と努力であるといえる。だが、罪を犯した人はこわい存在という偏見や、また犯罪を行うのではないかあるいは他の人に迷惑をかけるのではないか、と差別を受けている。刑罰を受けたあと、仕事や住まいを得ようとしても、自分たちへ及ぶさまざまな迷惑を感じとり、受け入れることを拒否している。このような社会のなかで、本人の努力だけで生き直すことは難しい。そこで、このような人々を支援を要する人として考え、社会復帰を後押しする必要がある。このことは、生活に困窮するおそれのある状態にある人々を支援する社会福祉の視点から見ても十分に理解できる。 

犯罪者への社会復帰支援方法とは?

ここでは、犯罪行為を行った人に対して、社会福祉に関係する機関においてどのような支援が展開されているのか、またそこに関わる専門職の役割について述べたいと思う。

代表的な関係機関に矯正施設がある。これは犯罪をした者や非行のある少年などを収容し、改善更生のための処遇を行う施設である。そして矯正施設に関わる専門職として社会福祉士が配置されている。矯正施設の収容者には、不安定な生活環境のなかで生きてきた人が多い。これまで教育、福祉医療といった各種の社会資源をうまく利用できなかったという人も珍しくない。あるいは、福祉サービスなどのよって傷つけられたという人もいる。また、家族をはじめとするインフォーマルな支援ネットワークがない、機能していない、あるいは仮に機能していたとしても矯正施設への収容をきっかけとして崩壊している場合がある。こうしたことから、釈放後に行き場がないという状況におかれている人が発生する。とくに高齢であったり、障害があったりする被収容者のなかには帰住地の調整に困難を抱える人が多い、それが再犯率の高さに影響していることが総務省によって指摘されている。そこで、こうした問題に対応策のひとつとして、福祉的ニーズのある被収容者が適切なサービスを利用できるよう支援するために社会福祉士が配置されたのである。

矯正施設で行われる社会福祉士の具体的な援助として以下の3つがある。

1つ目は福祉的支援を必要とする被収容者の選定。

2つ目は該当する被収容者のニーズの把握と帰住地調整の支援。

3つ目は福祉サービス利用のための申請手続きをはじめとした、社会福祉制度や社会資源利用のための連絡・調整。

これらの業務を一環として、保護観察所とのあいだで情報共有、連絡調整をしている。また、矯正施設からの釈放後の生活のコーディネート、フォローアップ、相談支援を行う地域生活定着支援センターによる支援の対象となる「特別調整」の対象者の選定、それにともなう連絡調整業務にうも関与している。それに加えて、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」26条に定められている「精神障害者又はその疑いのある者を矯正施設から釈放するときは、本人の帰住地の都道府県知事に知事に通報する」という業務を担当している場合もある。 

このように矯正施設1つでもさまざまな支援が行われていることが分かる。矯正施設からの釈放先の1つに更生保護施設がある。

更生保護施設は、釈放後、住居がなかったり、頼るべき人がいなかったりなどの理由で直ちに自立することが難しい保護観察などの対象者を、保護観察官長の委託の下で、宿泊させ、食事提供するほか、就職援助、生活指導を行う民間の施設である。更生保護施設は2009年度から指定更生保護施設が新たに設置されている。指定更生保護施設は、社会福祉士などの専門資格を有する専門職が配置されており、高齢または障がいにより自立が困難な矯正施設退所者などを一時保護している。更生保護施設は現在全国に103カ所あり、更生保護法人により運営されているほか、NPO法人や社会福祉法人の運営する施設がある。また、女性を受けいれている施設7カ所・男女ともに受けて入れる施設7カ所、高齢あるいは障害があり身元引受先がない人々を受け入れる指定をうけている施設は71カ所ある。更生保護施設が受け入れる人びとは保護観察を受けている者、保護を求めてきた者である。一般的に「施設」というと、対象者がずっと施設で暮らすイメージ強いが、先ほども述べたように、更生保護施設は一定期間、罪を犯した人や非行を行った少年が社会復帰するための居場所を提供し、ここから仕事に就いて自立のための自己資金を蓄えることを基本としている。更生保護施設に社会福祉士をはじめとする福祉専門職が配置されている。その目的は、高齢や障害といった理由で福祉的支援を必要とする矯正施設からの釈放者の福祉サービス利用などを支援することである。具体的には、施設内での加齢や障害特性に配慮した対応、各種福祉サービス制度の情報提供、利用にあたっての手続きの援助といた業務を担っている。 

 上記で述べたような矯正施設や更生保護施設に配置される社会福祉士のような専門職による援助の他に、ボランティアによる支援も注目されている。報酬を期待しないボランティアは援助を必要する人にとって、情緒的なつながりが強く、心の支えとなることがある。この関係性は、援助を必要とする人を人格的、社会的に成長することに大きく関わり、再び社会参加を行う手助けとなる。このボランティアに保護司がいる。保護司は,犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアである。保護司法に基づき,法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員であり、保護観察を通して対象となる人々に直接かかわるほか、「社会を明るくする運動」など犯罪予防のための活動にも携わっている。しかし、保護司などの援助を支援するボランティアは地域社会で知られる機会が少なく、人数も少ないのが現状である。さらに民間人とはいえ被援助者のプライバシーや個人情報に関わる実施活動を行っているため、一般市民へ話すこともできない。そのため、更生保護に関わる一般市民への協力・支援を得るための情報発信や、ネットワーク・多職種との連携などが課題となっている。 

これまで述べてきたように、犯罪や非行をなした人が処分を受けたのちにやり直していくための援助では、刑事政策、社会福祉、そしてボランティア、地域社会の協力が欠かせない。

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