障害福祉の歴史的展開と障害者の就労支援の現状と課題について

  • 2月 24, 2021
  • 9月 13, 2021
  • 福祉
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障害福祉の歴史 国連・障害の十年~障害者基本法まで

 日本の障害者福祉政策の転換期は、「国連・障害者の十年」における国内行動計画として初の長期計画である障害者対策に関する長期計画が策定された1982年に見出せる。また、1922年には、その後継計画として、1993年から2003年までの10年間を計画期間とした障害者対策に関する新長期計画が策定された。その後、ノーマライゼーションとリハビリテーションの理念のもと、計画に沿いながら障害者施策の推進がまされてきたが、1995年、新長期計画の後期重点施策計画として「障害者プラン~ノーマライゼーション7ヵ年戦略~」が策定され、この分野では初めて障害者支援に対して数値目標が掲げられた。 

さらに2002年には新長期計画の理念を継承し、障害者の社会参加をさらに推進するために障害者基本計画が策定された。それに伴い、同計画の前期重点計画として、新障害者プランが、2007年には障害者基本計画の後期重点計画として「新たな重点施策実施5か年計画」が策定された。そして2013年には、平成25年度から平成29年度までに講ずべき障害者施策の基本的方針について定めた障害者基本計画が策定された。

この計画では、2011年の障害者基本法改正を踏まえ、施策の基本を原則として、以下の3つを掲げた。

①地域社会における共生等

②差別の禁止

③国際的協調

さらに「障害者の自己決定の尊重及び意思決定の支援」、「当事者本位の総合的な支援」、「障害特性等に配慮した支援」、「アクセシビリティの向上」、「総合的かつ計画的な取り組みの推進」を施策の横断的視点とした。 

障害福祉の歴史 障害者虐待防止法~障害者総合支援法まで

 障害者福祉関連の働きとして、2011年に障害者虐待防止法が成立し、国などが障害者の権利利益の擁護に資することが定められた。また同年には、障害者の定義の見直しや、差別禁止規定の新設等を内容とする「障害者基本法」の改正法が施行された。そして2013年には「改正精神保健福祉法」が成立し、精神障害者への医療提供、保護者制度の廃止等が改正された。これと同日、精神障害者の雇用を企業に義務づけることを柱とする「改正障害者雇用促進法」が成立した。さらに障害者に対する合理的配慮の府提供の禁止などを定めた「障害者差別解消法」が成立した。 

 社会福祉基礎構造改革の一環として、2003年より、従来の措置制度から支援費制度へとサービス提供システムの整備が図られた。障害者福祉分野では続けざまに改革が進められ、2006年には障害者自立支援法が施行された。

障害者自立支援法

 障害者自立支援法は、従来障害の種別ごとに異なる法律に基づいて提供されてきた福祉サービスや公費負担医療などを、共通の制度の下で障害の種別(身体障害・知的障害・精神障害)にかかわらず、一元的にサービスを提供する仕組みの創設や就労支援の強化など、さまざまなサービス提供のための計画作成、費用の負担などを定めた法律である。しかし、応能負担になったことや、地域格差、谷間の障害など、解決されない課題が残っていた。それを受け、2012年に障害者総合支援法が施行された。

障害者総合支援法

 障害者総合支援法は、前身である自立支援法同様に、障害の種類に関係なく、障害者の支援を共通の制度のもとで行うことにより、障害者基本法の理念である健常者と障害者が共生する社会実現に寄与することを目的とした法律である。

 障害者総合支援法の支援内容に利用者への個別の給付である自立支援給付地域生活事業がある。前者の自立支援給付は様々な給付があるがここでは訓練等給付費の、就労移行支援と就労継続支援について述べたいと思う。

就労移行支援

 就労移行支援は、65歳未満の、一般企業などで働きたいと希望する人や、技術を習得して在宅での就労支援や起業を望んでいる人に対して、その希望をかなえるために行う支援である。就労移行支援では、実際に事業所で作業をしたり、企業で実習をしたりしながら、この活動を通して仕事を通して仕事に就くために必要な知識や能力の向上を図る訓練を提供している。そして、その上で利用者の求職活動に対する支援、職場に定着するための連絡・相談などの支援を行っている。

 利用者と契約した事業者は、その利用者に関する個別の支援計画に従った職場実習ができるように、その受け入れ先を確保し、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなどの関係機関と連携して、利用者の求職活動の支援、適性や希望に応じた職場の開拓に努められばならない。そして、利用者が職に就いたときもそれで終わりではなく、職場に定着するまでの間、定期的な連絡を行い、相談を受けるなどの支援を続けるのである。

就労継続支援

 就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を提供することである。就労継続支援には、雇用契約を締結して行うA型(雇用型)と、B型(非雇用型)の2種類がある。

 A型(雇用型)の就労継続支援は、利用者と福祉サービスを提供する事業者との間で雇用契約を締結し、この契約に基づいて事業者の事業所で就労の機会を提供するものである。この就労によって、一般企業への就労に向けた知識や能力の向上を図る。雇用契約を締結するため、就労の機会の提供とはいっても、利用者は労働者として扱われ、労働基準法等の労働関係法令が適用される。雇用契約を締結した以上、事業者は工賃の支払いが必要になり、これらの法令の遵守が求められる。

 B型(非雇用型)の就労継続支援は、雇用契約を締結しないで、通所によって就労や生産活動の機会を提供するものである。そして一般就労に必要な知識・能力に向上が見られた人には、一般就労に向けての支援が行われる。雇用契約は締結されていないため、工賃については、生産活動から得られた収入から必要経費を控除した額に相当する額が支払われる。対象者は一般企業などでの就労経験がある人や、雇用型の就労継続支援での就労経験がある人の中で、年齢的・体力的な面で雇用されることが難しくなった人、就労移行支援を利用したが、企業での就労や雇用型の就労継続支援に至らなかった人、このどれにも当てはまらないが、50歳に達している人、そして企業の雇用や、就労移行支援、雇用型の就労継続支援の利用が困難と判断された人である。

 このような制度体制により、活動を通して仕事に就くために必要な知識や能力の向上を図ることができ、就労を通して社会参加の機会を得ることができるのである。 

障害者の就労問題

 多くの企業が障害者雇用を進める一方で、一般企業に就いた身体、知的、精神などに障害をもつ人々は、業務上の面でさまざまな問題に直面しているのも現状である。車いすを利用して移動する人々にとっては階段が、就労場所で使う机の高さがあっていなかったりなどする場合もある。また、視覚障害者であれば点字を用いた書類が必要になってくる場面もあり、聴覚障害をもつ人に対しては手話や筆談が求めらる。その他にも精神障害は、一見しただけでは障害の特性が 分かりにくく、事業主も対応に困ることもある。そのためにも、制度面をさらに充実させながら、障害者と事業主が話し合い、精神的なケアをすることも必要となってくる。

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